「カーナビ」といえば日本! 世界初の民生品と市場シェア9割の過去――技術革新が切り拓いたスマホ地図時代の始まり
カーナビの普及が切り開いた「地図」の進化。GPS精度の飛躍と地図データのデジタル化は、ゼンリンを中心に1990年代から加速した。今やスマホや自動運転に欠かせない情報インフラへ。地図が都市と経済を動かす時代、その原点を探る。
地図革命を支えたGPS技術

スマートフォンで地図を開き、目的地を検索する。いまでは当たり前の行動だが、十数年前には想像すら難しかった。かつて営業職のビジネスパーソンは、ポケットサイズの地図帳を携帯していた。住宅街の住所表示を頼りに訪問先を探し、迷うことも少なくなかった。
転機が訪れたのは2010年代初頭。Googleマップなどのオンライン地図サービスが飛躍的に進化した。現在地の特定に加え、店舗情報、ATM、コンビニといった生活インフラも可視化され、移動中の判断が格段に効率化された。この革新の原点にあるのが、1990年代に登場したカーナビだ。
「今、自分はどこにいるのか」
このシンプルな問いに、正確な答えを返してくれた初めてのプロダクトがカーナビだった。1993(平成5)年、ソニーがカーナビ「NVX-F10」を市場投入。希望小売価格は21万円。それまでの価格の半額近くという設定が、市場の普及を一気に後押しした。リアルタイムで車両の位置を地図上に表示する技術は、ユーザーにとって“未来”を感じさせる体験だった。
この技術の中核には、衛星利用測位システム(GPS)がある。もともと米国が軍事目的で開発したGPSは、1990年代半ばには民間でも高精度を実現していた。ただし、GPSだけでは現在地を示すにすぎない。ナビゲーションとして機能させるには、詳細かつ正確な地図データが不可欠だった。