トヨタの1.5億台「SDV戦略」、既販車が金脈に? 68%の壁とユーザーの不信感──課金ビジネスの深いジレンマとは?

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かつての自動車は「売り切り型」のプロダクトで、販売台数が利益の源泉だった。しかし、現在はSDVによる継続課金モデルへと収益構造が転換しつつある。トヨタは1.5億台の既販車を対象に機能追加型サービスを全国展開し、収益拡大を狙う。

自動車産業の新収益源

トヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)
トヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)

 かつて自動車は「売り切り型」のプロダクトだった。メーカーやディーラーは、1台でも多く販売することに注力していた。販売が利益の源泉であり、アフターサービスを通じて顧客接点を維持し、買い替え需要を促すのが一般的な手法だった。

 だが現在、自動車産業は従来の販売モデルから大きく転換しつつある。注目されるのが、既に販売した車両に対する継続課金、いわゆる“アフターセールス”である。その中核を担うのがソフトウェア定義型車両(SDV)だ。

 SDVは、ソフトウェアのアップデートを通じて機能を後から追加・変更できる。月額や年額といったサブスクリプションモデルで提供されるのが特徴だ。ハードウェア中心の自動車に、ソフトウェアで新たな価値を加えるビジネスが本格化している。

 トヨタ自動車は、1.5億台の既販車を対象とする新たな戦略を展開中だ。SDVを起点としたバリューチェーンの収益拡大を目指している。2025年度内には、機能追加型サービスを取り扱う店舗を全国展開し、サービス内容も拡充する。

 トヨタはすでに2022年からSDV型サービスを導入済みだ。今後は、ソフトウェアによって

・スライドドアの開閉速度調整
・ブレーキ制御の変更

といった機能を既存車両に追加する施策を加速させる。

 こうした動きにより、業界全体でSDVへの期待は高まりつつある。一方で、ユーザーの実際の利用や意識とはギャップがあるのが現実だ。

 S&Pグローバルモビリティが2025年に実施した調査によれば、SDV関連の有料サービスに対する支払い意欲は前年比18ポイント減の68%まで低下した。日本における導入率は、無料試用期間を含めても3割程度にとどまり、市場の浸透は限定的な状況が続いている。

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