なぜEVは「乗り物酔い」を招くのか? 世界1700万台突破の影で進む科学的解明とその課題とは
世界のEV販売は2024年に1700万台を突破し、前年比25%増を記録した。国際エネルギー機関(IEA)は2030年にEVが新車販売の40%を占めると予測する。だが、EVの静寂性がもたらす新たな課題も浮上している。
EV静寂の新たな課題浮上

別の研究では、EVに搭載される回生ブレーキ技術が乗り物酔いの原因になる可能性が報告されている。回生ブレーキは、減速時の運動エネルギーをモーターで電気に変換し、バッテリーに充電する技術だ。
中国・重慶医薬学院の研究チームは2024年5月、『Journal of Automobile Engineering』にて、「回生ブレーキの強度が高いほど乗り物酔いを引き起こす可能性がある」と発表した。
16人の乗り物酔いしやすい被験者を対象とした実験で、回生ブレーキの強さと吐き気の程度に明確な相関関係が確認された。研究チームは
「この研究結果は、EVにおける動作の手がかりの重要性を浮き彫りにし、回生ブレーキシステムの設計とそれに対応する人間と機械の相互作用戦略についての洞察を提供します」
と指摘している。フットペダルを緩めただけでブレーキがかかる感覚は、慣れていない者にとって奇妙だ。特に同乗者にはこれまでにない不慣れな体験となる。最悪の場合、車酔いを引き起こすこともある。
問題の根底には、車両が現在あるいはこれから行う動作を乗員に伝える視覚的・感覚的な手がかりの不足がある。この課題への対応策のひとつが、視覚、聴覚、振動などの人工的信号を提供することだ。
排気ガスを出さず、走行時の静粛性はEVの大きなメリットとされてきた。しかし、EVの静かさは再考が必要になってきた。これまでは歩行者が車の接近に気づきにくいデメリットが指摘されてきたが、今回の研究は車酔いの要因にもつながることを示している。