EV販売1700万台突破の裏側! 「リチウム危機」が招く米・中・EUサプライチェーン大混乱とは

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2030年、中国・EU・米国のリチウム需要は計278万tに達する見通しだが、供給は深刻な逼迫が予測されている。地政学リスクと供給競争が激化する中、代替電池やリサイクルへの注目が加速。EV時代を揺るがす“白い金”を巡る攻防が、世界経済の次章を左右しようとしている。

次世代電池市場の分岐点

論文「期待は大きいものの供給は不足:地域間のリチウムの不均衡と、中国、EU、米国による貿易配分が及ぼす影響」(画像:Cell Reports Sustainability)
論文「期待は大きいものの供給は不足:地域間のリチウムの不均衡と、中国、EU、米国による貿易配分が及ぼす影響」(画像:Cell Reports Sustainability)

 採掘活動の強化に加え、この研究ではリチウム不足を緩和するための具体策にも言及している。

 例えば、ナトリウムイオン電池のように、リチウムをほとんど、あるいはまったく使わない蓄電池技術の導入が挙げられる。こうした技術は、気候変動対策と資源制約の両面に対応できる可能性がある。

 また、個人向けEVの普及から公共交通の利用促進へと重点を移すことで、急激なリチウム需要の高まりを和らげる手もある。研究チームは、

・採掘の拡大
・多様な供給源の確保
・需要管理の見直し

が不可欠だと警鐘を鳴らす。これらを怠れば、気候・エネルギー目標の達成が大幅に遅れるリスクがあるという。

 楽観的な見方では、リチウム価格の上昇が新たな採掘投資を促し、電池技術の効率化が進む可能性もある。ナトリウムイオン電池などの新技術は、蓄電池市場の多様化に寄与するかもしれない。

 さらに長期的には、リサイクルが重要な役割を果たすと見られる。2030年代には第一世代のEVが寿命を迎えるため、回収されたバッテリー素材が新たな資源として再利用される可能性があるからだ。前述のムンベルエル博士は次のように語っている。

「私はかなり楽観的です。歴史が示しているのは、さまざまなボトルネックや供給リスクなどを予測するのは容易な場合が多いということです。しかし実際にそれらが起こると、予測不可能なイノベーションが山ほど起こるのです」。

 リチウムイオン電池の代替候補としては、

・ナトリウムイオン電池
・全固体電池
・マグネシウムイオン電池

などが研究・開発段階にある。2025年3月には、エレコムがナトリウムイオンのモバイルバッテリーを発売。中国CATLも、ナトリウムイオン電池を搭載したEVを年内に市場投入する計画を明かしている。

 ナトリウムイオン電池は損傷しても発火しにくく、安全性の面でも評価されている。今後予想されるリチウム不足の有力な解決策になる可能性がある。

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