「中古車価格」が二極化? 自動ブレーキ搭載、“安全プレミアム”はなぜ生まれたのか――義務化後の商機を読む
自動ブレーキ義務化の進展が中古車市場を二極化させている。事故リスクを8割減らす実証データや保険料の割引が搭載車の「安全プレミアム」を後押しする一方、非搭載車には価格訴求という明確な役割が求められる。装備の有無が売買契約や輸出競争力にも影響を与え、業界の常識が今、大きく塗り替わろうとしている。
保険料が後押しする装備選択

安全性能の向上は、すでにデータで裏付けられている。スバルが交通事故総合分析センター(ITARDA)の統計をもとに独自分析した調査結果によれば、同社の自動ブレーキシステム「アイサイト」搭載車は、追突事故の発生率が約80%減少した。歩行者との接触事故も約50%減っている。いずれも2010(平成22)~2014年度における1万台あたりの事故件数をもとにした比較である。
こうした安全効果は保険会社にも評価されている。発売後3年以内のアイサイト搭載車を対象に割引制度が導入されており、保険料の差額が購入決定に影響を与えるケースも増えてきた。実際、高齢ドライバーを中心に安全装備への関心は高まりつつある。60代以上では、5人にひとりが自動ブレーキ搭載車を希望しているという調査結果もある。
加齢により視力や反射速度に不安を抱く世代では、自動ブレーキの有無が車選びに直結する。保険料の割引も含め、「長期的には得だ」と考える人が増えている。家族から「安全な車に乗ってほしい」と促されて選ぶケースもあるだろう。
こうした傾向を受け、自動ブレーキ搭載車は明確な付加価値商品として扱われるようになった。年式や走行距離が同じでも、価格差を設ける販売店が増えている。営業担当者は安全性能や保険料の差額など、総合的なメリットを前面に出して提案する。一方で、非搭載車は価格訴求が軸となる。ただし、コストメリットだけを強調せず、安全装備がないことによるリスクもきちんと説明する必要がある。