ホンダはなぜ「大型EV」を捨てたのか? 北米「11万台の壁」と25%関税――三重苦からの再編戦略とは

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EV販売130万台、税額控除終了、関税25%――北米市場に吹き始めた逆風のなか、ホンダが大型EV SUVの開発を中止。戦略的撤退の背景にあるのは、需要鈍化と政策転換への冷静な対応だ。日本車は今、再編か撤退かの岐路に立たされている。

HV220万台目標の狙い

ホンダが発表した「2025ビジネスアップデート」より(画像:本田技研工業)
ホンダが発表した「2025ビジネスアップデート」より(画像:本田技研工業)

 ホンダは2025年5月20日、「2025ビジネスアップデート」を公表した。EV関連の投資額を、2024年5月に掲げた10兆円から7兆円へと削減する。ソフトウェア領域には2兆円を維持する一方で、バッテリーや生産設備などの分野で約3兆円の減額に踏み切る。

 同時に、需要の伸びが期待されるHVへのシフトを鮮明にした。2027年からの4年間で、グローバル市場に13モデルを投入し、製品ラインアップを拡充する。2030年のHV販売目標は、2025年度比で2.2倍の220万台を掲げた。

 北米では、オハイオ州の3工場をEVハブと位置づけ、10億ドル(約1470億円)を投資する。EVを含めた生産最適化と収益性の回復を重視し、トランプ政権による政策リスクの回避も図る。大型SUVの開発中止によって経営資源を再配分し、事業構造の再構築を進める姿勢がうかがえる。

 日本の自動車メーカー各社も、米国市場向けEV戦略の見直しを加速させている。これは、アーリーアダプター(新しい製品やサービスを積極的に試す顧客層)による爆発的な需要が沈静化し、

「EVを出せば売れる」

時代がすでに終わったことを意味する。米市場で競争優位を築くには、

・トランプ政策による追加関税
・補助金打ち切り
・現地生産圧力

という三重の構造的障壁に耐える経営体力が求められる。今後、日本メーカーに突きつけられる選択肢はふたつに絞られる。

・米国市場への選択と集中を強め、投資を拡大するか
・インド、東南アジア、中東など成長余地のある新興市場へ軸足を移すか

である。米国集中か、多極化か。グローバル最適配置の再構築が急務となり、各社の戦略判断が問われている。

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