「EV失速」は本当? 世界28%増の陰で日本が「その他」扱いとなる根本理由――見過ごされた「CAFE規制」の決定的弱点
2024年以降、日本のEV市場は「失速」と報じられるが、世界全体では前年比24%増の成長が続く。日本は緩やかな燃費基準でEV普及が遅れ、輸入車が8割を占める。国際競争力維持には制度改革とインセンティブ強化が急務だ。
HV延命を促す燃費基準

日本では2019年、国土交通省と経済産業省が「2030年以降に企業別平均燃費で25.4km /L(WLTCモード)」を新たな燃費基準値として発表した。日本市場には多くのHVが流通しており、既にこの基準を達成できるレベルに達している。PHVも高い燃費評価を得られる制度であり、日本メーカーにとって有利な環境が整っている。
そのため、無理にEV販売を増やさなくとも燃費規制をクリアできる緩やかな制度であることは否めない。トヨタのようにエンジン車やHVを延命するマルチパスウェイ戦略が正当化される背景にもつながる。こうした事情から、日本の燃費規制は実質的にEV普及を推進する役割を果たしておらず、むしろ
「HV延命策」
として機能している可能性がある。日本メーカーがHV依存から脱却できない根本的な原因は、
「燃費規制に縛られない環境が生まれ、それが温存され続けた結果」
である。多くの日本メーカーはHV販売に注力すれば燃費規制をクリアできるため、あえてEV販売を強化する圧力がかかっていない。
また海外でも、日本メーカーはHVをラインナップの中心に据えることで燃費規制をクリアしやすいアジア市場などに注力している。そのため、自動車販売に占めるEV比率を高める経済的動機が生まれにくい。
結果として、EV普及を促す努力や、EV価格を引き下げて競争力を維持しようとするモチベーションがメーカーに育たない。消費者にとってはEVの選択肢が狭まり、好循環を生む土壌も形成されていない。実際、日本で販売されるEVの約8割を輸入車が占める現状が、この実態を示している。