「EV失速」は本当? 世界28%増の陰で日本が「その他」扱いとなる根本理由――見過ごされた「CAFE規制」の決定的弱点

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2024年以降、日本のEV市場は「失速」と報じられるが、世界全体では前年比24%増の成長が続く。日本は緩やかな燃費基準でEV普及が遅れ、輸入車が8割を占める。国際競争力維持には制度改革とインセンティブ強化が急務だ。

中国主導のEV市場拡大策

中国の国旗(画像:Pexels)
中国の国旗(画像:Pexels)

 欧米をはじめとする主要国は、自動車の燃費基準として「CAFE規制」を導入している。CAFEとは

・Corporate
・Average
・Fuel
・Efficiency

の略で、「企業別平均燃費基準」を指す。CAFE規制は、自動車メーカーごとに平均燃費やCO2排出量を算出し、年間販売台数を考慮した一定基準を超えた場合に罰金を科す制度である。1970年代のオイルショックを契機に米国で導入され、現在はEUや日本などでも採用されている。

 メーカーは、ガソリンを使わないEVの販売比率を高めることで、CAFE基準をクリアしやすくなる。燃費の悪い車の販売を補うために、EVを

「数合わせ」

として活用する構図だ。このため、CAFE規制が強化されるほど、EVの戦略的価値は増し、メーカーはより多くのEV販売を余儀なくされる。このサイクルによって、CAFE規制強化はメーカーにEV販売を強制する効果を持つ。

 各国のEV政策を振り返ると、まず中国では中央政府が主導する「新エネルギー車」振興政策がある。メーカーには一定のEV販売比率を義務付け、消費者には地方政府を中心とした補助金や都市部のナンバープレート優遇などのインセンティブを提供している。これにより、中国のEV市場は順調に成長軌道に乗っている。

 欧州はCO2排出規制を強化し、基準超過のメーカーに厳しい課徴金を課している。これにより、メーカーはEVやPHVの販売を強化せざるを得ず、EV普及が進展している。

 米国ではバイデン政権下でインフレ抑制法(IRA)が成立し、EV購入に対する税額控除「クリーンビークル税額控除」が運用されている。EVやバッテリー工場の建設にも補助金が支給されている。加えて、カリフォルニア州などでは独自にZEV(ゼロエミッションビークル)規制を強化する動きも活発だ。いずれの国も、自動車メーカーに

「EVを売らなければ罰せられる」

という強制力を課し、政策としてEV市場の成長を促進する制度設計を進めている。

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