東京都は「わずか800m」になぜ巨費を投じたのか? 異例の費用対効果が示す「多摩都市モノレール延伸」への周到な布石

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町田市の新町田街道が2024年3月に約800m区間で開通し、町田街道の渋滞を約2割緩和した。東京都は7.7kmに及ぶ延伸計画で将来の多摩都市モノレール敷設も視野に入れ、交通利便性と防災機能を両立させる戦略的インフラ整備を進めている。

災害拠点直結で高まる輸送信頼性

断面図(画像:東京都)
断面図(画像:東京都)

 今回開通した区間の先には、町田市民病院がある。

 同病院は、町田市の災害拠点病院に指定されており、災害時には地域全体の救急医療や搬送、避難支援の中核を担う。新たに整備された道路によって、木曽団地や住宅街を経由していた従来ルートよりも、病院へのアクセスが大幅に改善した。緊急時の輸送ルートとしての信頼性も高まった。

 今回の整備は、単なる利便性の向上にとどまらない。東京都建設局が2022年に公表した事業評価資料では、この道路が防災面で複数の効果を発揮するとされている。具体的には、

・緊急車両の走行性向上
・災害時の避難路の確保
・消防活動困難地域の解消

といった評価が挙げられている。さらに、同資料では費用便益比(B/C比)を5.3と試算している。投資額に対して、5.3倍の便益が見込まれる水準だ。道路整備事業としては異例ともいえる高い数値である。

 裏を返せば、それだけ町田街道の渋滞が深刻だったことを示している。そして、新設ルートがその解消に寄与する効果も、数値が証明している。

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