率直に問う EV愛好家は本当に「クルマ好き」と呼べるのか?

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EVの世界販売は2024年に1750万台へと急伸、全体の22%を占めるまでに拡大した。だが、その支持は単なる合理性や環境意識にとどまらない。変容する「車の価値観」を巡る静かな消費革命が、今始まっている。

加速する旧車趣味の高齢化

BYDが提供するOTAアップデートのイメージ(画像:BYDジャパン)
BYDが提供するOTAアップデートのイメージ(画像:BYDジャパン)

 現在のEV市場は、テスラ、比亜迪(BYD)、ヒョンデといった企業が主導している。EVが選ばれる基準も変化している。車両性能だけでなく、OTA(無線通信アップデート)によるソフトウェア更新の利便性や、自動運転支援機能といった体験重視の技術が評価されている。

 これは、従来の「走る・曲がる・止まる」といった走行性能に価値を置く嗜好とは明らかに異なる。EVをスマートフォンのような存在と捉え、愛着ではなくアップデート性や利便性に価値を見出す層が現れている。中国をはじめとする一部の市場では、こうしたEV支持層が拡大傾向にある。

 もはやEVは所有欲を満たす対象ではない。重視されるのは話題性や技術の目新しさへと移行しつつある。クルマを取り巻く価値観は、大きく転換している。

 一方で、クルマを趣味とする嗜好は今も残っている。旧車、マニュアル車、V8エンジン車などへの支持は根強い。ただし、EVシフトの流れのなかでは、こうした嗜好は逆風にある。

 環境規制の強化により、旧車の維持費や税負担は年々増している。部品供給も不安定化しつつあり、所有環境は厳しさを増している。経済的にも社会的にも肩身の狭い状況に置かれているのが実情だ。

 若年層のクルマ離れが進むなかで、旧車の購入層は高齢化している。趣味性の高いクルマ文化は、社会構造の変化に十分に適応できていない。このままでは、愛好層の縮小とともに、ガラパゴス化していく可能性も否定できない。

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