「天井を走れる」EV誕生? アクション映画が現実に?──F1超えのダウンフォース制御が拓く未来の走行革命とは

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F1都市伝説「車は天井を走れる」は、ついに現実となった。英マクマートリー製EV「スピアリング」が自走で逆さ走行を達成。最大2000kgのダウンフォースを生む革新技術と、量産100台限定の戦略が、スポーツカー市場に波紋を広げる。

小さなメーカーだから出来る挑戦

マクマートリー ハイパーカー(画像:マクマートリー・オートモーティブ)
マクマートリー ハイパーカー(画像:マクマートリー・オートモーティブ)

 マクマートリー・オートモーティブは、EVスポーツカーに特化した少数精鋭のメーカーである。小規模であることが、今回のような大胆な挑戦を可能にしたともいえる。

 同社は、サー・デイヴィッド・マクマートリーが、元F1技術者のトーマス・イェーツと共に立ち上げた。公式サイトには、「ダウンフォース技術の限界を押し広げ、比類なき運動性能を実現するハイパーカーを設計する」との記述がある。まさにスピアリングのような車両の実現を前提に設立された企業である。

 創業当初から、同社はファンカー技術を中核に据え、最高の走行性能を追求してきた。完成したスピアリングの圧倒的な速さは、その技術の成果といえる。

 今回の“天井走行”も、本来は「ダウンフォース・オン・デマンド」システムの副産物にすぎない。とはいえ、同社の技術力を象徴する強烈なアピールとなったのは間違いない。

 マクマートリーはこれまで、サーキット向けの試作車のみを開発してきた。量産実績はなかったが、2026年にはスピアリングの量産モデルを100台限定で発売すると発表している。今回のデモンストレーションは、その布石として極めて効果的である。

 もちろん、天井走行は実用性のない技術であり、大手メーカーが手を出す領域ではない。だからこそ、マクマートリーのような挑戦的な企業がそれを実現した意義は大きい。技術史に確かなインパクトを残す出来事となった。

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