自動運転の「死亡事故」はなぜ繰り返される? 米国・中国で頻発する悲劇、日本も“空・鉄道並み”調査導入の舞台裏とは
自動運転の実用化が迫るなか、国土交通省は航空機や鉄道並みの事故調査体制を自動運転車にも導入する方針だ。背景には、米中で相次ぐ死亡事故と、法的責任の不明確さがある。安全性と制度設計の両立が、今後の普及を左右するカギとなる。
運輸委員会が担う新時代の検証

自動運転車とは、運転と走行を全自動で行う車両である。少子高齢化による労働人口の減少を背景に、公共交通や運輸を支える存在として注目されている。
国土交通省は、自動運転車の重大事故に対する事故調査の実効性を高めるため、航空機や鉄道の事故調査を担当する運輸安全委員会が対応する方向で調整を進めている。
日本では現時点で完全自動運転車の実用化はまだだが、バスやタクシー、運送トラックなどでの実証実験が進行中である。実証実験は限られたルートや専用レーンで短距離走行にとどまるため、事故のリスクは低い。とはいえ、自動運転バスが接触事故を起こした事例も報告されている。
従来の事故調査は自動運転車も含めて従来の方法で行われてきた。しかし、公道走行の経験が乏しい自動運転車に対しては、より詳細な調査と原因究明が可能な運輸安全委員会に担当させる。これにより、安全性の早期向上を狙うものである。
運輸安全委員会は国土交通省の外局でありながら独自の調査権限を持つ。これまで航空、鉄道、船舶事故の重大インシデントに関して原因究明調査を行ってきた。直近では、3月に東北新幹線の連結外れ事故が2度連続で発生し、重大インシデントとして調査を実施している。
運輸安全委員会の事故調査では、原因究明や再発防止策の検討、関係行政機関や関係者への勧告・意見表明を行う。特に関係者への直接勧告権を持つため、強力に対策を推進しやすい体制だ。
今後、自動運転車が実用化される段階で重大インシデントが発生した場合、これらの調査プロセスを通じて安全性の課題克服を迅速に進めることが可能となるだろう。