技術大国なのにパクリ? 中国1トン級ドローンが英国製に酷似! ヘンリー・フォードも戦った「特許独占」の闇とは

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中国企業が開発した無人機TP1000が、英ブリテン・ノーマンの小型機BN-2と「寸分違わぬ」設計で波紋を広げている。自国特許数で世界一となった中国が今なお設計コピーに依存する実態は、技術覇権と知財の境界線を揺さぶる。英国議会も動いたこの問題、背景には航空技術と法制度の根深い対立がある。

3Dプリンタで再生する名機の設計思想

新中央虚空で使われていたBN-2。筆者撮影(画像:ブースカちゃん)
新中央虚空で使われていたBN-2。筆者撮影(画像:ブースカちゃん)

 ブリテン・ノーマンBN-2は1965年に原型機が初飛行した古い飛行機だが、簡素ながら要点を押さえた設計で、高い短距離離着陸性能を持つ使いやすい機種だ。日本でも、沖縄諸島や伊豆諸島の離島へ飛ぶ小型旅客機として、最近まで使用されていた。ブリテン・ノーマン社では、エンジンのターボプロップ化や各種軍用型の追加など、現在も積極的にBN-2シリーズを発展させ、英国での生産が続いている。将来は無人機型への展開も検討しているというから、これと競合するTP1000の存在は許容できないだろう。

 壹通無人機システム社は、TP1000以外にも数種の固定翼無人機を開発しており、2022年6月には単発の無人貨物機TP500を初飛行させている。TP500の機体は同社の独自設計と思われ、同社がまったく機体設計能力を持っていないわけではない。だが、BN-2のような優れた既存設計を流用すれば、空気力学的な設計に要するコストやスケジュールは大幅に削減できる。

 同社はブリテン・ノーマン社とライセンス契約も結んでいないから、BN-2の製造図面を保有しているとは考えられず、BN-2からのリバース・エンジニアリング(既に完成された製品や技術を分解・解析して、その構造・機能・設計思想などを明らかにするプロセス)でTP1000の設計をまとめたのであろう。ブリテン・ノーマン社は、2018年に北京の中国企業とBN-2の販売契約を結んでおり、機体は中国でも容易に入手可能なのだ。

 もしリバース・エンジニアリングが行われたのだとすると、少なくとも主要な部品はBN-2と同じ構成でコピーされていると思われるが、部分的には3Dプリンタを使用した部品に置き換えるなど、現在の技術水準で低コスト化が図られているだろう。そうした意味では、完全にBN-2をそのままコピーしたわけではなく、BN-2の機体形状をそのまま流用した派生機というべきものだ。

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