デザインとブランド戦略――新しい日本車の魅力【連載】Make Japanese Cars Great Again(4)

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日本車のデザインは、世界を魅了してきた。マツダロードスターやトヨタプリウスなど、ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞した車が示すように、規模に関わらず独自の美学が成功の鍵となっている。特にEV市場では、デザインの差別化が重要な課題となり、日本の美意識が新たな方向性を示す。

日本を全面に打ち出したデザインで勝負

茶室(画像:Pexels)
茶室(画像:Pexels)

 欧州や米国のサイトで、自動車を選ぶ際のポイントを検索すると、以下の項目がおおむね上位を占めている。

・燃費
・安全性
・価格
・実用性
・品質

ユーザー目線でいえば、正直なところデザインは自動車を選ぶ基準としてはあまり高くはない。にもかかわらず、トヨタが、新型プリウスで美しいデザインにこだわったのは、ある意味示唆的な出来事のように思える。

 つまり、技術的に成熟したときに行き着く先はデザインということだろう。EVも、省エネ性能、安全性、価格、実用性、品質で大きな差が出ないならば、デザインに頼るしかない。マツダは、自動車のデザインについてこうも言及している。

「次世代デザインでは「引き算の美学」、すなわち引くこと、省略することによって生まれる「余白の豊潤」を大切にし、要素を削ぎ落としたシンプルなフォルム、そして研ぎ澄まされた繊細な光の表現でクルマに命を吹き込む」

と。まさにシンプルで差別化が難しくなるEVの目指す方向性といっていい。幸い日本には、装飾を削ぎ落として侘び寂びを極めた茶室や白と黒のシンプルななかにダイナミズムが潜む襖絵など、学ぶべきお手本が潤沢にある。さらには、TGVのインテリアをデザインした日本人デザイナー佐藤オオキ氏率いるnendoなど工業デザイナーや、建築家、画家など優秀な人材とタッグを組んで、オールジャパンで日本的なデザインを実現してもいいだろう。

 日本には日本の美、欧州には欧州の美、中国には中国の美がある。どの文化が優れているか、優れていないかではない。胸をはって

「日本人でしか出せない美」

で勝負すべきだ。日本の自動車メーカーが今日まで培ってきた品質・安全性・信用に、日本の美が加わることで、「Make Japanese Cars Great Again」が成し遂げられるにちがいない。

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