二度の墜落で90人死亡! さらに過労強いた超ブラック企業…台湾「トランスアジア航空」の信じられない実態とは
パイロットの過酷労働環境

このふたつの事故は、前述の通り同社のパイロットによるヒューマンエラーが原因だった。実際、同社のパイロットは手順通りに運航していなかったのではないかという疑いがある。その証拠として、2015年2月に実施された口頭試験の結果が挙げられる。台湾当局がトランスアジア航空のATR社製機材を運航するパイロットに試験を行ったところ、6分の1にあたる10人が不合格となった。
また、パイロットのミスを誘発した原因には、トランスアジア航空の労働環境の劣悪さもある。同社は日本路線などの拡大を続けるなか、安全よりもコスト削減を優先した。その結果、パイロットは過酷な労働条件で働かされていた。実際、GE222便の機長は事故前90日間で累計278時間、副操縦士は264時間を乗務していた。フライトレコーダーには、機長が29時間の勤務で8回も飛んであくびをしながら運航している様子が記録されている。
これは台湾の他の航空会社と比較してもかなり多い数字であり、待機時間なども含めると、かなり過労だったと考えられる。トランスアジア航空はATR社製機材の路線を急増させたが、増員はせず、結果としてパイロットひとりひとりに負担がかかっていた。
また、元パイロットの証言によると、長距離運航後、次のフライトには30時間の休養が必要とされているが、遅延した場合はその時間を確保できず、勤務を続けることがあったという。この証言が事実なら、日本路線でも過労を強いられたパイロットがいた可能性がある。
改善を求めたパイロットもいたが、経営陣はそれを無視していた。トランスアジア航空は、まさにブラック企業だったといえる。
世界を震撼させた2件の航空事故は、トランスアジア航空に急速な客離れを引き起こした。2016年度第3四半期の決算では、累積損失が22億台湾ドルに達し、経営は危機的な状況に陥った。
2016年11月22日、トランスアジア航空は会社解散と運航停止を発表した。未使用の航空券は払い戻され、残余資産で補償が行われた。また、傘下のLCC「Vエア」も同年中に解散し、わずか2年でその歴史に幕を閉じた。