ベビーカー、重い荷物…なぜ日本人は手を差し伸べないのか? 「困っている人=自業自得」 一橋大×名大調査で明らかになった共感の欠如とは
「誰にも迷惑をかけない」が美徳とされる日本。その価値観が、移動困難層の孤立、インフラ設計の分断、現場の非効率を招いているのではないか。文化心理学調査と都市交通分析を通じて浮かび上がる、“共感欠如型社会”の経済的損失とは何か。
移動弱者の経済脱落

では、モビリティという観点で、この共感なき社会はどのような影響を及ぼしているのか。
第一に、それは移動のしづらさとして顕在化する。高齢者や障がい者、子育て中の親にとって、移動とは単なる移動ではない。そこには、他人の助けがある前提で設計されていない都市が立ちはだかる。公共交通における
・補助人員の不足
・インフラの非対称性
は、弱者の移動コストを指数関数的に増大させる。
その結果、移動できない人々は消費機会からも切り離され、地域の経済循環から脱落していく。つまり、誰も助けてくれない社会は、消費者を減らす社会でもあるのだ。
また、観光やインバウンドの文脈でも影響は大きい。困っている外国人観光客に誰も声をかけない都市は、不親切と受け止められ、再訪意欲を大きく下げる。短期的な案内所の設置ではカバーしきれない、市民レベルでの受け入れ体制が求められているにもかかわらず、そこは個人任せの精神論でしか語られない。