ビッグモーター買収の衝撃!「伊藤忠商事」が自動車業界へ本格参入する理由 CASE革命、サプライチェーン最適化、新興国市場を考える
100年に一度の変革期に揺れる自動車業界。その渦中で伊藤忠商事が約600億円でビッグモーター(現・WECARS)を買収した。電動化や新興国進出、AI活用による供給網改革まで、総合商社の次なる成長戦略を読み解く。
自動車産業との歴史

伊藤忠商事が自動車業界に参入したのは、最近始まったことではない。歴史は古く、1950年代後半にはすでに日本車の輸出を行っていた。
戦後の日本経済復興期、自動車産業は基幹産業として成長した。伊藤忠商事は、その初期段階から海外市場の販路開拓を通じて、日本の自動車メーカーの国際的発展を支援してきた。
単なる貿易仲介にとどまらず、ときとともに自動車産業への関与を深めた。製造には直接関与しないが、素材供給や部品製造といった「川上分野」から、物流、小売、金融サービスなどの「川下分野」まで事業領域を広げた。これは、総合商社としてのネットワークと機能を活かした多角化戦略だ。
具体的には、高級輸入車ディーラーのヤナセへの出資が挙げられる。ヤナセはメルセデス・ベンツなどを扱う企業で、伊藤忠商事はこの出資で国内の自動車小売市場でのプレゼンスを高めた。また、リース業界大手の東京センチュリーにも出資し、オートリースやファイナンスリース事業など、自動車関連の金融サービスにも力を入れている。
これらの動きは、伊藤忠商事が自動車産業を単なるトレーディングの対象ではなく、長期的に重要な事業領域と捉え、バリューチェーン全体で収益機会を追求してきたことを示している。
日本自動車販売協会連合会の統計によると、国内の新車販売台数は減少傾向にあるものの、2023年の新車販売台数は約477万台で、依然として巨大な市場規模を維持している。伊藤忠商事は、この市場の変化を見据え、引き続き多角的なアプローチで自動車ビジネスに関与してきた。