「馬肉」は戦前、鶏肉よりも安かった! 今は高級なのになぜ?「食品偽装」も横行、意外と知らない「馬肉と戦争」との関係とは

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戦前の日本において、馬肉は最も安価な食肉であった。しかし、現在では高級食材としての地位を確立している。この価格変動の背景には、軍馬としての役割があった。本稿では、馬肉が戦争と輸送政策によって安価だった理由を探る。

戦争のために排除された在来種のウマ

第一次世界大戦における日本軍の馬車による輸送(輜重)隊 北川由之助編『世界大戦写真帖』国会図書館蔵(画像:近代食文化研究会)
第一次世界大戦における日本軍の馬車による輸送(輜重)隊 北川由之助編『世界大戦写真帖』国会図書館蔵(画像:近代食文化研究会)

 日清戦争、日露戦争における日本軍の陸上輸送手段は、馬車であった。その後トラックも導入されたが、第二次世界大戦まで陸上輸送の主役を担っていたのは馬車であった。

 そのため戦争には大量のウマが投入されたが、平時から大量のウマを軍事専用に飼うとなると巨額の費用が必要となる。なので日本を含めた諸国は、戦争になると民間からウマを調達し、戦後に返却するという運用を行った。

 日露戦争時に民間から徴発・購買されたウマは17万頭弱(森田敏彦『戦争に征った馬たち』)。民間のウマは、戦時には重要な軍事力となったのである。

 そのために日本政府は民間のウマの品種改良に介入した。食肉用として優れていた在来種を排除し、軍事用として優れていた外来種との交雑を強制的に進めたのである。

 第二次世界大戦まで、民間のウマは重要な軍事的価値をもっていた。なので食用としての価値は軽視され、安値となっていたのである。

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