「馬肉」は戦前、鶏肉よりも安かった! 今は高級なのになぜ?「食品偽装」も横行、意外と知らない「馬肉と戦争」との関係とは
戦前の日本において、馬肉は最も安価な食肉であった。しかし、現在では高級食材としての地位を確立している。この価格変動の背景には、軍馬としての役割があった。本稿では、馬肉が戦争と輸送政策によって安価だった理由を探る。
次第に「不味くなっていった」馬肉
大瀧真俊『戦時下の軍馬政策と農家経営』によると、1935(昭和10)年の時点で馬の99%が外国種との交雑種。純粋な日本在来種のウマはほぼ消滅、食肉用として劣る交雑種のみが残ったのである。
つまり、馬肉は明治時代以降、食肉としての価値が無視され、交雑により不味くなっていったのである。これが、馬肉が安値に放置された理由のひとつだ(他の理由については拙著『串かつの戦前史』参照)。
食肉用としての価値を落とすにも関わらず、外国種との交配が進んだのは、政府が強制したからである。子どもを産ませる種馬に、日本在来種を用いることを禁止したのだ。在来種の排除政策が実行されたのである(杉本竜『日本陸軍と馬匹問題』)。
なぜ在来種の排除政策が行われたのか。日本の在来種のウマは食肉用としては優れていたが、体格が小さく、軍馬としては劣っていたからである。