「馬肉」は戦前、鶏肉よりも安かった! 今は高級なのになぜ?「食品偽装」も横行、意外と知らない「馬肉と戦争」との関係とは

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戦前の日本において、馬肉は最も安価な食肉であった。しかし、現在では高級食材としての地位を確立している。この価格変動の背景には、軍馬としての役割があった。本稿では、馬肉が戦争と輸送政策によって安価だった理由を探る。

明治時代に衰退の危機に瀕した和牛

日本在来種の木曽馬(画像:写真AC)
日本在来種の木曽馬(画像:写真AC)

 現在は日本だけでなく、海外にもその評価が広がっている和牛。しかしながら明治時代に、その和牛が衰退の危機に瀕したことがある。

 当時の日本は欧米から農産物、畜産物を積極的に導入した。その結果キャベツやタマネギなどの西洋野菜が日本に根づき、ブタの品種は従来種からイギリス原種のヨークシャー、バークシャーに取って代わられた。ウシに関しても大柄な外国種が導入され、従来種である和牛との交配が進められた。

 しかしながら、大正時代以降和牛の価値が再評価されるようになり、外国種との交雑種は次第に排除されるようになっていった(市川健夫『日本の馬と牛』)。

 和牛が再評価された理由のひとつは、外国種にはない「霜降り」があり、外国種と比べ肉の歩留まりが高い(骨が細く、肉が多い)という、肉牛としての優秀さにあった(瀧川昌宏『近江牛物語』)。つまり食肉用として高く評価されたために、和牛の純血が守られたのである。

 ウマも外国種との交配が進められたが、ウシと同じく、交雑種は在来種に比べ食肉用として劣っていた。

「馬肉としてもっともうまいのは、木曽馬・土産馬などの日本在来馬や韓国の済州馬などで、肉繊維が細かく柔らかい。その上、骨が細いので枝肉の歩止まりもよい。」(市川健夫『日本の馬と牛』)

 しかしながら、木曽馬・土産馬などの在来種は和牛のように再評価されることなく、食肉用として劣る交雑種に取って代わられていったのである。

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