ANAが「MSJライバル機」を導入発表! 一体なぜなのか? P&W製GTFエンジン巡る攻防、日本への影響を徹底解剖する

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ANAホールディングスは、ライバル機のエンブラエルE190-E2を最大20機購入することを発表。注目すべきは、両機が搭載するP&W社のGTFエンジンで、低燃費・低騒音を誇り、航空業界での競争に大きな影響を与えている。日本企業のプログラムシェアは各社合計で23%だが、巨額の開発コスト負担や設備投資などを償却するためにも、同エンジンの販売は重要だ。

低騒音・低燃費の実力

 GTFエンジンの魅力は低燃費や低騒音だと書いたが、空港でGTFエンジン搭載機の離着陸に遭遇すると、その低騒音性能を体感することができる。筆者(ブースカちゃん、元航空機プロジェクトエンジニア)はMSJの飛行試験を何度も目にしているが、そのたびに騒音が小さいことを実感した。低燃費と低騒音は、現在の旅客機に強く求められている環境性能であり、国内各地を結ぶ路線にE190-E2の就航が増えれば、空港周辺の騒音軽減にも繋がることが期待できる。

 環境性能の点で大きな魅力を持つGTFエンジンだが、リージョナル・ジェット旅客機用としては、これらの機種に搭載されているP&WのPW1000Gシリーズが、事実上唯一の選択肢になっている。P&Wのライバルとされているジェネラル・エレクトリック(GE)社はGTFエンジンを供給しておらず、ロールス・ロイス(RR)社が現在開発中の「ウルトラファン」はPW1000Gシリーズより大型機向けで、まだ実用段階には至っていない。

 P&WがGTF市場で独占状態にある理由として、同社が米国で取得した特許が背景にある。2012年に出願されたこの特許(特許番号:US8935913)は、プラネタリー・ギアを使用してファン速度を減速することに関するもので、従来から存在するアイデアを包含してしまう内容であった。この特許が承認されてしまったことで、GE社での開発が困難になってしまったのだ。GE社は米国特許庁に異議申し立てを行ったものの、リージョナル・ジェット機用エンジン市場では、P&Wに大きく差を付けられる結果となったのである。

 このようにシェアを巡る競争の激しい航空エンジン産業だが、日本の重工各社にとっても他人事ではない。PW1000Gシリーズは国際共同開発が行われており、日本の重工大手3社(IHI、川崎重工、三菱重工)も日本航空機エンジン協会(JAEC)を通じて、開発と生産に参加しているのだ。

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