損害額は数億円超! 海上事故の強い味方「海上保険」の知られざる世界! 古代からサイバーまで、世界貿易を守る進化の軌跡とは
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海運業界は世界貿易を支える重要な基盤だが、近年、予測不可能なリスクが増加している。天候不順や海賊行為に加え、サイバー攻撃による損害も深刻化。特に2017年にはMaerskがランサムウェア攻撃で数億ドルの損失を被り、サイバー保険の導入が進むなか、リスク管理手法の進化が急務となっている。
海上保険の歴史

海運業界は世界貿易において重要な役割を果たしているが、海上輸送には多くのリスクがともなう。天候不順、海賊行為、船舶事故、貨物の損傷、そして地政学的なリスクなど、予測できない要因が多い。このようなリスクに対処するために必要不可欠なのが「海上保険」である。
海運業界は世界貿易の大部分を支える基盤であり、海上で発生する予期しない事故によって大きな損害を被る可能性がある。このため、リスク管理の一環として海上保険は長い歴史の中で進化してきた。
古代ギリシャ時代から海上輸送が行われており、荒天や海賊からの攻撃といった不可避の事態に備えて、船や船員を守るために積荷を海に投棄することがあった。この際、荷主と船主が損害を分担するという保険の基本的な考え方が生まれたのである。
12世紀から13世紀にかけて、地中海沿岸で貿易が盛んになり、海上保険は北部イタリアの都市で近代的な保険の形態へと発展した。その後、英国が産業の中心となり、ロンドンのコーヒーハウスで形成されたロイズ保険組合が海上保険の発展を牽引し、現代の保険制度が整備されていった。