「送料無料表示」の陰で進む不平等な搾取! ガソリン代1.5倍で苦しむ軽バン配達員、今こそ燃料サーチャージ導入が必要だ

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端的にいう。EC・通販の送料無料表示は今すぐ撤廃すべきだ。できるなら法律で禁じてほしい。ガソリン価格の高騰に苦しむEC・通販の配達を担う軽バン配達員を守るためである。

EC業界の配達費用改革

軽バン(画像:写真AC)
軽バン(画像:写真AC)

 とはいえ、燃料サーチャージの導入に関しては、軽バン配達員から困惑の声が上がるだろう。

「(燃料サーチャージ金額の算出や請求などの事務処理に)手間と時間が掛かりすぎる」
「燃料価格が安くなったときに、運賃まで下げられそう」
「運賃の方を値上げしてほしい」

これは運送会社に対し、東京都トラック運送事業協同組合連合会が行ったアンケートから、燃料サーチャージを導入しない理由を抜粋したものだ。同様の声は軽バン配達員からも上がるだろう。特に、「請求等の事務処理にかかる負担」については、個人事業主である軽バン配達員にとっては受け入れにくいだろう。

 このような事情を考えると、EC・通販などの配達を担う軽バン配達員への燃料サーチャージについては、政府が介入すべきだと考える。

・燃料サーチャージは毎月政府が金額を公表し、EC・通販事業者と元請事業者はこれに基づいて、軽バン配達員への対価支払いを行う。
・EC・通販事業者は、政府公表の燃料サーチャージをもとに、消費者に送料を請求する。

 つまり、軽バン配達員に手間をかけさせないよう、荷主であるEC・通販事業者と元請事業者が燃料サーチャージを加えた配達委託料を支払うことを法制化するということだ。言うなれば、現在行われている源泉徴収と似た仕組みだ。

 繰り返すが、こういった社会制度を実現するためには、送料無料表示を撤廃しないと難しいだろう。もし、それでも送料無料表示を続けるというのであれば、それはEC・通販事業者の勝手だ。ただし、軽バン配達員には燃料サーチャージを含めた正当な対価を支払うべきであり、燃料サーチャージはEC・通販事業者が負担すべきだ。

 ECや通販、あるいはネットスーパーの拡大など、個人宅へのラストワンマイル配送を担う軽バン配達業界への期待は大きい。だからこそ、個人事業主である軽バン配達員に対して、一方的に負担を押し付けるような不平等や理不尽という悪しき商慣習は是正されなければならない。

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