「送料無料表示」の陰で進む不平等な搾取! ガソリン代1.5倍で苦しむ軽バン配達員、今こそ燃料サーチャージ導入が必要だ

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端的にいう。EC・通販の送料無料表示は今すぐ撤廃すべきだ。できるなら法律で禁じてほしい。ガソリン価格の高騰に苦しむEC・通販の配達を担う軽バン配達員を守るためである。

月9468円増の負担、燃料費の重圧

ガソリン価格の推移(画像:資源エネルギー庁 )
ガソリン価格の推移(画像:資源エネルギー庁 )

 近年の燃料代高騰は、多くの経済活動に負の影響を与えている。

 当然の話だ。資源エネルギー庁の最新データによると、ガソリン価格は1リッターあたり184.6円(2025年2月5日公表)。ここ数年の最安値は124.8円(2020年5月11日)で、この5年間でおよそ5割も上昇したことになる。

 一方、軽バン配達業界では、多くが個人事業主として働いている。売上のなかから、配達用軽バンの車両費、燃料費、自動車整備費、各種保険や税金などを支払わなければならない。ガソリン代が5年間で1.5倍近くに上昇した影響は、配達員の収益に直結する。そもそも、軽バン配達の売上は決して高くない。国土交通省の調査では、軽バン配達員の55%が平均月収29万円未満(通常期)という結果が出ている。

 では、ガソリン価格の高騰によって、軽バン配達員はどれほどの損失を被っているのか。軽バンの燃費を16km/リッター、1か月の稼働日数を25日、1日あたりの走行距離を114kmと仮定する(この走行距離は国土交通省の調査をもとに推計)。この5年間でガソリン価格は1リッターあたり59.8円上昇しているため、ガソリン代の負担額は1か月あたり9468円増えた計算になる。

 ガソリンや軽油などの燃料価格上昇は、軽バン配達員や運送会社の努力だけではどうにもならない問題だ。だからこそ、政府は運送会社に対し、運賃とは別に燃料サーチャージを徴収するよう推奨し、荷主にもその必要性を理解するよう求めてきた。

 しかし、軽バン配達業界では、業界内からも政府からも燃料サーチャージ導入を求める声はほとんど聞こえてこない。クルマを使って配達する以上、トラックであろうと軽バンであろうと、燃料価格の高騰が事業者にとって大きな痛みであることに変わりはないはずだ。

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