子どもの自転車事故で人生終了? 10歳児童「過失100%」判決が示す高リスク社会! 過去には9500万円賠償ケースも
自転車事故の増加が社会的課題となっている。2023年の自転車関連交通事故は7万2339件に達し、全体の23.5%を占めた。未成年者の事故も多く、親の監督責任が問われるケースが増えている。兵庫県での判決では「自転車側の過失100%」が認定され、保護者の指導と保険加入の重要性が浮き彫りになった。損害賠償は数千万円規模に及ぶ例もあり、自転車利用者のリスク管理が急務となっている。
自転車事故に対して備えられること

日本損害保険協会のウェブサイトには、「判決認容額」(裁判で加害者に支払いを命じられた金額)と「事故の概要」が掲載されている。
その中には、男子小学生(11歳)が夜間に自転車で走行中、歩行中の女性(62歳)と正面衝突した事故の事例がある。この事故で女性は頭蓋骨折などの重傷を負い、意識が戻らない状態となった。判決で認められた損害賠償額は9521万円にのぼる。他にも9330万円、9266万円といった事例があり、自転車事故であっても被害の大きさによっては数千万円の賠償金を支払わなければならない。未成年であっても、その責任から逃れることはできない。
自転車には事故に備えた保険があるが、自動車事故とは異なり、被害者救済のための自賠責保険が存在しない。そのため、自転車事故の損害賠償責任は「個人賠償責任保険」で補償され、自分自身のケガは「損害保険」によってカバーされる。それぞれの保険に加入する必要がある。
近年、自転車事故は増加傾向にあり、各保険会社から補償内容や保険料、加入方法が異なる多様な保険商品が提供されている。そのため、自転車に乗る際には、自分や家族に適した保険を選ぶことが重要だ。また、子どもには交通ルールを改めて確認させ、自転車でも加害者になり得ることをしっかりと伝えるべきだろう。
たとえ親が十分に注意を促していたとしても、子どもがつい危険な運転をしてしまうことはあり得る。しかし、万が一の事故が起きてからでは遅い。日頃から交通ルールを徹底させることはもちろん、大人自身も模範となるような運転を心がけることで、自転車事故の発生を少しでも減らすことにつながるはずだ。