トヨタが採用! 驚異の「レーザー溶接」でクルマはどう変わる? 車体強度60%アップの秘密とは

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自動車産業における革新的な溶接技術は、生産効率向上と環境負荷低減を両立させる重要な役割を果たしている。トヨタの「レーザースクリューウェルディング」やダイヘンの「Cold Spot Joining」技術は、車体強度の向上やCO2削減を実現。技術革新の裏で、人材不足やコスト面の課題も依然として残るが、進化を続ける溶接技術は業界の未来を切り拓いている。

環境負荷低減を実現できる溶接技術

固相抵抗スポット接合システム「Cold Spot Joining」(コールド・スポット・ジョイニング)(画像:ダイヘン)
固相抵抗スポット接合システム「Cold Spot Joining」(コールド・スポット・ジョイニング)(画像:ダイヘン)

 現代の自動車産業が直面する最重要課題のひとつに、自動車の環境負荷を低減する方法があるが、この課題に対して複数の面で効果的な解決策を提供できる技術が存在する。

 その代表的な技術が、ダイヘン(大阪市淀川区)が開発した固相抵抗スポット接合システム「Cold Spot Joining」(CSJ)である。この技術は、超ハイテン材やアルミ合金などの難接合素材を低温域で安定的に接合できることにより、自動車の大幅な軽量化を実現する。1.5GPa級ハイテン材の安定接合により、車体重量を最大33%軽量化できる点が、この技術の革新性を示している。

 CSJ技術の環境負荷低減効果は、具体的な数値で裏付けられている。従来の抵抗スポット溶接と比較して、消費電力を最大50%抑制できることが実証されている。また、低温域での接合により、接合部分の強度低下やスパッタの発生を抑制し、後工程での除去作業が不要となることで、製造プロセス全体の効率化にも貢献している。

 さらに、CSJ技術の応用範囲は広く、自動車産業以外にも波及する可能性がある。この技術は、炭素を多く含む鋼の適用拡大を可能にし、CO2排出量の大幅な削減に寄与する。また、低入熱での接合により電極などの消耗部品の寿命が延び、産業廃棄物の削減やコストダウンにもつながっている。

 このように、CSJ技術は自動車の軽量化、製造プロセスの効率化、CO2排出量の削減、産業廃棄物の低減といった多角的な観点から、環境負荷低減に貢献できる革新的な溶接技術である。

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