トヨタが採用! 驚異の「レーザー溶接」でクルマはどう変わる? 車体強度60%アップの秘密とは

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自動車産業における革新的な溶接技術は、生産効率向上と環境負荷低減を両立させる重要な役割を果たしている。トヨタの「レーザースクリューウェルディング」やダイヘンの「Cold Spot Joining」技術は、車体強度の向上やCO2削減を実現。技術革新の裏で、人材不足やコスト面の課題も依然として残るが、進化を続ける溶接技術は業界の未来を切り拓いている。

トヨタ導入「LSW技術」で生産効率向上期待

レーザースクリューウェルディング(LSW)(画像:自動車技術会)
レーザースクリューウェルディング(LSW)(画像:自動車技術会)

 数ある最新の溶接技術の中でも、トヨタが導入した「レーザースクリューウェルディング(LSW)技術」は、革新を象徴する技術である。

 この技術は、従来のスポット溶接と比較して、溶接点の密度を大幅に高めることを可能にした。具体的には、車体の開口部周辺のフレーム構造をより緻密に接合できるようになり、車体全体の強度と剛性が向上し、堅牢な構造が実現できる。

 また、LSW技術は生産ラインのスピードを向上させ、製造コストの削減にも寄与している。従来のスポット溶接がボタン留めに例えられるなら、LSW技術は“ジッパー留め”のような効率的な接合を可能にする。トヨタはこの技術を2016年型のプリウスをはじめとする多くの車種に採用し、プリウスでは旧型と比べてねじり剛性が約60%向上し、乗り心地と操縦安定性が改善された。

 さらに、LSW技術は高速で円形状の溶接を打点し、接合することができるため、従来のレーザー溶接技術にあった作業時間の長さを克服している。この技術革新により、トヨタはより速く高剛性のボディを組み立てることができ、車両の乗り心地や操縦安定性の向上にも繋がった。

 他の自動車メーカーも、様々な最新の溶接技術を導入し、自動車の性能と生産効率の向上に努めている。

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