航空自衛隊のT-7後継機取得 「官製談合」疑惑が再燃するなか、透明な入札は実現できるのか?

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航空自衛隊のT-7後継機入札では、官製談合の疑念や不透明な決定プロセスが再び問題視されている。整備費用は見積もりの倍に達し、国際的な信頼性も低下している。今後は透明性を確保することが急務だ。

信頼を失う不透明な入札

2015年の試験中に、オーストラリア空軍KC-30 A39-002が米空軍F-16に給油している様子(画像:米空軍)
2015年の試験中に、オーストラリア空軍KC-30 A39-002が米空軍F-16に給油している様子(画像:米空軍)

 防衛省や自衛隊だけでなく、日本政府の信用も損なうような官製談合の疑いがある状態が、いつまで続くのだろうか。これは

「国益を傷つける」

ことにもつながるし、防衛予算が適正に使われているかという納税者の疑念を招く。防衛省や自衛隊には、防衛省や自衛隊の常識は

「世間の非常識」

ということを認識してほしい。また、内倉浩昭空幕長には、あしき前例とはきっぱりと縁を切ってもらいたい。しかし、それは難しいだろう。

 問題の根源には、防衛産業の同じ分野で能力のない弱小企業に仕事を分配しているという現状がある。顧客がほぼ防衛省しかないのに、固定翼機に4社、ヘリに3社、エンジンも3社があるため、それぞれに事業を発注せざるを得ない。ソ連崩壊以降、多くの国では防衛航空産業の統廃合が進んでいるが、日本ではほとんど行われていない。

 2025年度の予算でも、防衛産業振興のための予算が多くついているが、防衛省は「事業の統廃合は民間の問題であり、私たちは関与しない」というひとごとのような姿勢だ。これは当事者意識と能力の欠如を示している。今後も低性能、低品質、高価格な防衛装備品の調達が続き、海外からの信頼を失うような不透明な「競争入札」が続いて税金が浪費されることが予想される。

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