「2024年問題」規制強化にもかかわらず、物流業界の「運べなくなる」危機感がガタ落ちしている理由
2024年の働き方改革によりトラックドライバーへの時間外労働規制が開始されたが、物流業界の危機感は低下している。物量の減少や物流コストの上昇が想定内であることが原因で、抜本的な改善が進まず、業界全体の動きが鈍化している。
トラックGメンの未来

物量が落ち着き、物流単価の上昇が一巡した今こそ、荷主企業と物流企業は未来に向けて建設的な議論を始めるべきだ。両者はお互いの内情をあまり理解していない。これまではバイヤーとサプライヤーという関係が強く、情報の共有も限られていた。
しかし今後は、互いにパートナーとして将来の物流危機に備えなければならない。過去に交渉材料としてあまり共有されなかった情報を開示し、共通の課題に取り組む必要がある。
荷主企業と物流企業の担当者もこの状況を理解しているはずだ。しかし、社内での危機感が高まらず、動きが鈍くなっているのではないだろうか。もしそうであれば、この状況を大きく変える取り組みがある。それが「トラックGメン」の活動だ。
2023年末には「集中監視月間」を実施し、164件の是正が行われた。この時期には荷主企業の危機感も高かった。しかし、2024年に入って計画はあるものの、実施された結果はまだ公表されていない。トラックGメンの活動が広く知られれば、荷主企業の温度感も必然的に高まるだろう。
規制措置が効力を発揮するまで、物流業界の大きな変革に向けて、トラックGメンの積極的な活動に期待したい。
本記事の執筆にあたり、筆者は荷主企業や物流企業だけでなく、国土交通省の担当者とも話をした。物流業界に関わる人々の共通の思いは、
「物流を効率化し、物流業界のプレゼンスや経営陣の物流リテラシーを向上する」
ことである。あとは、その思いを企業活動に反映させる行動を取るだけだ。