トラック・バス・タクシー業界が深刻な人手不足にもだえ苦しむ根本理由 2019年「働き方改革」とは何だったのか?
猶予期間を襲ったコロナ

2019年に中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは、その後日本に上陸し、猛威を振るった。その過程で外出自粛要請が出され、企業などはテレワークなど、出勤しなくても良い体制を整えていった。こうしたなかで打撃を受けたのがタクシーやバスである。
海外からの観光客が減り、日本社会全体が外出を控える体制を整えていくとこうした業界は苦境に立たされることになる。運行していても乗客がいない。関連企業は勤務を減らしたり、補助金を申請したりなどしてなんとかコロナ禍を乗り切ろうとした。しかし、この時期、新規の採用は控えざるをえなかった。
企業側にとってみれば、できる限りの支出を減らさなければならない。現状を乗り切るのが精いっぱいで未来への人的な投資にまで手が回らない。本来であれば、この時期は2024年4月に予定されている規制適用を見据えて、
・人材の確保
・待遇改善
に動かなくてはならない時期でもあった。タクシーやバスは慢性的な人手不足に苦しんでおり、従業員は高齢化している。
とはいえ、これは運輸関係業界だけの問題ではない。日本は少子高齢化の真っただなかにあり、2024年1月22日に発表された人口統計では、15歳から64歳のいわゆる生産人口は7397万2000人となっており、前年より29万1000人減少している。生産人口が最も多かった1995(平成7)年には8700万人だったので、1300万人減少している計算になる。人手不足はどの業界も同じだ。
ただでさえ人手不足の状態にあり、コロナ禍での離職が起こっていた。しかも、その間、新規採用も控えざるをえなかったとあれば、深刻な人手不足に陥るのは当然といえよう。
ようやく事業者が立ち直り、新規採用を再開したのが2022年のことだった。事業者にとって対策に回せた猶予期間はほぼなかったといえよう。こうして、2024年を迎えたのである。