トヨタ子会社が下請法違反 「金型保管の強要」はなぜタチが悪いのか? “取引慣行”はもはや許されない時代に
長期保管が必要な金型

金型は部品の製造時に主に使用するものだが、アフターパーツの供給のために製造終了後も長期保管が必要となる。
金型は部品の形状を正確に製造するためのものであり、金属の塊から削り出しなどで制作される。その大きさは製品サイズや一度に製造する部品の個数によって変わってくるが、自動車用部品の金型は大きなものがほとんどだ。1台の自動車には
「3万点」
に上る大量の構成部品があるが、その部品に使われるパーツなども含めると金型で製造される部品は膨大で、金型自体の数も当然多くなる。また金型の精度や状態が部品のクオリティーを直接左右するため、必要最小限の金型の数に抑えるために替えが聞かないものでもある。
自動車部品の製造は車種ごとに生産台数に合わせた計画個数があり、その製造が完了すれば金型の役割はひとまず完了する。だが機械製品は後々の修理や部品交換などを行う場合があり、特に車は10年以上も使用されることが多いため、それらに使用するアフターパーツの製造のために金型を数年間はどこかに保管しておかなければならない。
もし金型を廃棄してしまうと部品の再生産のために新規で金型を作成しなくてはならないが、莫大(ばくだい)な作成コストと部品価格の上昇を招くばかりか、金型が変わったことで精度などの部分で問題が起こりかねない。そういった理由から部品製造後にも金型は保管を義務付けられている場合が多いが、法定耐用年数は
「2年」
と定められている。だが中小企業庁の資料「平成30年度金型に係る取引の調査結果」(2020年3月発表)によると自動車製造業における金型の保管期間は4年超が8割以上を占めるが、驚くべきは
「10年、20年も保管している事例が全体の半数」
を占めており、法定耐用年数を大きく上回っているようだ。こういった状況のなかで金型の長期保管は製造業の大きな課題になっており、今回のように下請けに押し付けるような問題が発生することになった。