ハイブリッド車のバッテリー革新? JFEスチールの980MPa「超高張力鋼板」が初採用、自動車にどんなメリットがあるのか
JFEスチールの980MPa級超高張力鋼板が初めてHV用バッテリーに採用され、性能向上と軽量化を実現。各社の戦略が対照的に展開している。
ホンダは逆転戦略で作りやすさを狙う
車体用の高張力鋼板はより強度が高く軽量化の狙える引っ張り強度の高い材料の使用が増加傾向にあるが、一方で国内自動車大手のホンダは近年戦略を真逆に転換している。
ホンダは2024年3月にセダンの旗艦車である新型「アコード」を発売したが、このアコードのボディには980MPa級および780MPa級の高張力鋼板が使用されており、1000MPaを超える超高張力鋼板は使用されていない。
ボディの衝突安全性能や剛性は当然ながら十分に確保されているが、他メーカーが超高張力鋼板の採用をより進めるのとは対象的な戦略を取っている。ホンダはあえて引っ張り強度がそこまで高くない材料の採用を増やすことで、強度や軽量化以外のメリットを引き出そうとしている。
ホンダの戦略にはいくつかの目的があり、まず超高張力鋼板の加工性の悪さによる影響を少なくすることだ。今回発売されたアコードはタイで製造されて日本に輸入されるモデルとなるが、ボディの製造を現地で行う際に大型の設備と技術力が必要な超高張力鋼板を加工できるメーカーはどうしても限られてしまう。
技術的には現地でも1200MPa級の超高張力鋼板を加工できるが、現実的な線で980MPaまでの高張力鋼板に抑えることで製造性を高め、衝突安全性など強度に関する部分は適切な設計で補っている。
また超高張力鋼板の加工には引っ張り強度が高まるとともに大型のプレス機などの設備が必要でコスト高の原因にもなるため、高張力鋼板のグレードを抑えることでコスト低減にもつながるようだ。
ホンダは今後の新型車にもこの方式を採用していくそうで、他社と大きく違う戦略の行く先は興味深い。