糾弾か熟考か 自動車メーカーがこぞって「不正」に走る根本理由 交錯する“正義”は糺せるのか?
今回紹介する『組織不正はいつも正しい』は、組織内の「正しさ」と規制側とのコミュニケーション不足が不正の原因であることを指摘する。
惰行法の実施困難

なぜ両社は惰行法を使わずに「不正」を行ったのだろうか。
不正を認める記者会見のなかで、両社とも惰行法の難しさを語っている。三菱自動車によると、風や気温が変化しやすい日本では惰行法での測定が難しく、タイで測定を行っていたという。さらに調査報告書でも惰行法での測定は
「よほどの条件が整わない限り不可能であった」
と説明されている。
スズキも、記者会見において惰行法の難しさを指摘したうえで、燃費をよく見せるためではなく
「より正確な燃費を測定するため」
に惰行法を使わなかったと述べている。
三菱自動車の採用していた高速惰行法は米国で使用されていたコーストダウン法という測定方法をもとに開発されたものであり、スズキが「装置毎の積上げ」で測定していたのは
「欧州での認証を得るため」
にこのようなやり方で測定していたからだった。つまり、両社とも国際的に見れば
「正しい」
方式で測定したことになる。