糾弾か熟考か 自動車メーカーがこぞって「不正」に走る根本理由 交錯する“正義”は糺せるのか?

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今回紹介する『組織不正はいつも正しい』は、組織内の「正しさ」と規制側とのコミュニケーション不足が不正の原因であることを指摘する。

燃費不正の実態

ダイハツ工業のロゴマーク(画像:時事)
ダイハツ工業のロゴマーク(画像:時事)

 本書では、

・三菱自動車やスズキによる燃費不正事件
・東芝の不正会計事件
・小林化工や日医工でのジェネリック医薬品の不正製造事件
・大川原化工機事件

の四つのケースを分析しているが、ここでは本書の分析枠組みがうまく当てはまっていると思われる三菱自動車やスズキによる燃費不正事件を中心に、本書が提示する組織不正のロジックを紹介したい。

 三菱自動車とスズキの燃費不正は2016年に発覚した。2015年にフォルクスワーゲンがディーゼルエンジンの排ガス規制を不正なソフトウエアを使ってクリアしていたことが明らかになってから、日本でも各社で燃費や排ガス検査における不正が明らかになった。

 三菱自動車とスズキだけではなく、2018年にかけて、スバル、日産自動車、マツダなどでも燃費に関わる不正が明らかになっている。

 三菱自動車とスズキの不正は、燃費の計測において国が定める測定方法を使用していなかった不正だった。

 三菱自動車は日産とNMKVという会社を作り、そこからの委託生産という形でekワゴンなどで知られるekシリーズを生産していた。しかし、日産が燃費を計測したところ、三菱自動車が実際に測定していた実測値と国土交通省へ届け出ている届け出値が大きくかけ離れていることが判明し、三菱自動車側でも調べたところ、燃費試験のデータを不正に操作していたことが発覚した。

 さらなる調査の結果、三菱自動車が過去10年間に製造・販売していた自動車においても燃費試験の不正が行われていたことが判明している。

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