EV推進派の裏切り? 米ニュージャージー州が導入する「EV道路税」が矛盾と不条理に満ちているワケ

キーワード :
, ,
ニュージャージー州知事が2024年3月末、「EV道路税」を導入する法案に署名した。EV推進で知られる同州が、なぜEV販売にブレーキをかけるような道路税を課すのか。

年間250ドルの道路税

ニュージャージー州のフィル・マーフィー州知事(画像:ニュージャージー州)
ニュージャージー州のフィル・マーフィー州知事(画像:ニュージャージー州)

 マーフィー州知事が署名した「EV道路税」が2024年7月から施行され、州内に居住するEV所有者は年間250ドル(約3万9000円)の道路税を支払わなければならなくなる(2028年までの4年間、毎年10ドルの追加を含む)。

 さらに、EVの新規購入者またはリース契約者は、2028年までの4年間、一括して道路税を前払いし、新車納車時に1060ドルを支払う義務がある。EVの購入が進まない理由のひとつとして、EVの高価格が挙げられており、1000ドル近い新規出費につながり、EV販売を抑止しかねない状況だ。

 ニュージャージー州在住のEV所有者に対する新たな道路税の目的は、同州の燃料税(ガソリン税)収入の損失を相殺するためとされているが、道路損傷の修復費用を回収する目的もある。

 その根拠は、EVは一般的にガソリン車より重い傾向にあり、将来EVが普及すれば道路損傷が増える可能性があるというものだ。しかし、そのような根拠は理にかなっているのだろうか。同州上院予算歳出委員会に反対意見書を提出したNPO団体「チャージEVC」の指摘を検証したところ、腑に落ちない点が多いことがわかった。

全てのコメントを見る