深夜の「高速バス」でなかなか眠れないとき、あなたは何を考えているのだろうか?
大阪在住のフリーライターである筆者は、かつて東京との往復に何度も夜行バスを利用した。本稿はそのときに感じたことの一部であり、本質である。
過去の記憶をたどる試み

私がよくやっていたのは、
「自分が生まれてから今までの記憶」
を順を追ってできるかぎり詳しく思い出す、という試みだった。
・保育園に通っていたときのこと
・小学校に入学したばかりの頃のこと
そんなことを頑張って思い起こしていると、いつしか眠気がやってきてくれる。
このような夜の高速バスでの時間を、ストレスに感じる人も多いかもしれない。しかし、多少強引に考え方を変えてみれば、現代においてスマートフォンやパソコンにタッチせず、
「ただ目を閉じて過ごす時間」
は非常に貴重なものだともいえないだろうか。こんな機会でもなければ、自分の人生をじっくり見つめ直すようなことはなかなかない。また、夜行バスを利用するメリットは何も価格だけではない。うまく眠れるのであれば、
「睡眠時間を丸ごと移動時間に充てる」
ことができるわけである。夜遅くまでたっぷりと時間を使い、車内で睡眠をとり、朝、目的地に着いたらすぐに新しい1日をスタートすることができる。上手に活用すれば、これほど旅の時間を目いっぱい満喫できる交通手段はほかにないのではと思う。
誰しもにおすすめできるわけではないが、面白い経験だと思って、一度は夜の高速バスに乗ってみてほしい。