地獄化する京都の「観光公害」 地価高騰で子育て世代が続々流出、渦中の「宿泊税」は本当に抜本的対策になるのか?

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外国人観光客をターゲットにした新たな財源確保策として、さまざまな料金徴収方法が検討されている。そのなかで、多くの自治体が「宿泊税」の導入を選択している。その理由は何だろうか。

経済同友会の提言と宿泊税の拡大

インバウンドのイメージ(画像:写真AC)
インバウンドのイメージ(画像:写真AC)

 2024年3月の経済同友会の提言「自立した地域の観光経営の実現に向けた宿泊税の拡大と活用」では、観光振興に向けた財源として、現在一部の自治体で導入されている宿泊税を地方税法上の「法定目的税」として全国的に展開することを求めている。

 報道等によると、既に

「約30以上の地方自治体」

が宿泊税の導入を検討中とのことだが、国主導で法定目的税化によって全国共通の独自財源の基盤整備を行うことで、より多くの自治体での導入が期待できる。

 また、同提言では、法定目的税化に際しての論点として、

・定率制の導入と3%以上の税率設定
・課税の前提となる観光振興戦略の策定義務付け

などを挙げている。特に、観光振興戦略においては、宿泊税の位置づけや使途の見える化、定期的な効果検証の実施などを盛り込むべきだと指摘する。宿泊税が真に観光振興に資する施策に活用されるよう、制度設計の工夫が求められる。

 多くの自治体が宿泊税の導入にかじを切っているのは、観光客から直接得られる新たな財源を観光振興や観光公害対策に充てることで、持続可能な観光地経営を目指すことにある。東京都をはじめとする先行事例の効果が明らかになるなか、観光客増加のメリットを享受してきた地域ほど、宿泊税の導入に積極的な姿勢を見せている。

 もちろん、宿泊税がオーバーツーリズム対策の即効性のある決定打になるわけではない。

・観光客の分散化
・住民との対話
・受け入れキャパシティーの拡大

など、多面的な取り組みが欠かせない。今後、ますます拡大するインバウンド需要に対応し、真の観光立国を実現するには、宿泊税を軸とした観光財源の確保と、地域の実情に即した効果的な活用が鍵を握る。

 自治体には、多様な関係者の理解と協力を得ながら、宿泊税の戦略的な活用を通じて、観光公害の防止と観光振興の好循環を生み出していくことが求められている。外国人観光客の

「恩恵と副作用」

の間で綱渡りを強いられる各地の苦悩は、まさに観光大国ニッポンの“生みの痛み”なのである。

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