地獄化する京都の「観光公害」 地価高騰で子育て世代が続々流出、渦中の「宿泊税」は本当に抜本的対策になるのか?
外国人観光客をターゲットにした新たな財源確保策として、さまざまな料金徴収方法が検討されている。そのなかで、多くの自治体が「宿泊税」の導入を選択している。その理由は何だろうか。
宿泊施設側の懸念

以上を考慮すると、内外人問わず広く薄く宿泊税を課す方式が、最も現実的で受容されやすい方法であり、各自治体が導入を進めている理由だ。
ただ、宿泊施設側からは徴収事務の負担増加への懸念も根強い。料金上乗せによる需要減退も指摘される。さらに温泉地では、
「入湯税との二重課税」
になるなど負担感による、利用者の減少も懸念される。しかし、日本で最初に宿泊税を導入した東京都の事例を見ると、導入初年度の2002年度から2021年度までの間に、合計で
「約273億円」
の税収を確保している(「宿泊税 20年間の実績と今後のあり方」)。これにより、
・東京観光情報センターの整備/運営
・ウエルカムカードの作成
など、都の戦略的な観光振興施策の推進に大きく寄与してきた。東京都の訪都外国人旅行者数は、宿泊税導入前の2001(平成13)年の277万人から、コロナ禍前の2019年には過去最多の1518万人までに増加するなど、着実に効果が現れている。
こうした東京都の先行事例からも、宿泊税は、受け入れられやすく観光振興に必要な安定財源の確保に有効であることがわかる。重要なのは、多様な人々の理解と協力を得ながら、地域の実情に即した効果的な制度設計を行い、戦略的に活用していくことである。それにより、各地域がオーバーツーリズム対策や観光地の魅力向上を進め、持続可能な観光振興と地域経済の活性化を実現していくことが期待される。
観光立国を掲げる日本にとって、インバウンド需要への対応は喫緊の課題である。各地で導入の動きが加速する宿泊税については、地域の実情を踏まえた丁寧な制度設計が不可欠だ。外国人観光客との共生を図りつつ、地域の持続的発展につなげる知恵が問われている。