中国人の“爆買い”にはもう頼れない! これからのインバウンド対策、カギは「リスク分散」 収益モデルに変化の兆し
中国人観光客に訪れた「嗜好変化」

では、今後、インバウンド市場ではどういった戦略が望ましいだろうか。中国人の海外旅行の動向を見ると、かつての
「爆買い」
する中国人観光客を目当てにした戦略は成功し得ないことは明らかだ。中国人観光客の回復の遅れは、日本だけでなく、
・タイ(2019年の1100万人から2023年は350万人に減少)
・韓国(同600万人から202万人に減少)
・シンガポール(2023年1~9月の中国人観光客数が2019年同期の35%)
など、アジア各国で共通している。現在、中国政府は多くの国とビザ免除を実施しているが、中国観光研究院の予測では2024年の出国者数は約1億3000万人で、2019年の約1億5500万人には及ばないとされる。その最大の理由は、中国人の
「旅行嗜好の変化」
である。コロナ禍で出国が制限されたなか、国内旅行への関心が高まり、海外旅行への熱は以前ほどではなくなった。また、
・買い物中心から体験型観光へのシフト
・団体旅行から個人旅行への移行
・ビーチリゾートから都市部人気の高まり
など、旅行スタイルも変化。「爆買い」に代表される物品の大量購入を前提とした観光を楽しむ人は激減しているのだ。
つまり、今後も中国人観光客の存在は無視できないが、かつての「爆買い」のような現象は期待できないし、数の多さに惑い
「中国人のみに主眼をおいたインバウンド戦略」
は効果を発揮できない。日本政府は、2030年に訪日外国人旅行者数6000万人、消費額15兆円という目標を掲げている。この目標を達成するカギは、中国一辺倒からの脱却を意識することと、多角的な誘客を狙うことにあるだろう。
先に記した『日本経済新聞』によれば、高知県は、大型クルーズ船の寄港地として名乗りを上げ、欧米客の取り込みを図っている。山形県では、タイの旅行会社と連携し、毎年交流事業を実施。親日国タイからの観光客増加につなげている。