大阪の“南北格差”はさらに広がる? 北大阪急行「延伸」で府南部から漏れる、「大阪市&北摂はズルい」のホンネ
大阪府北部の北摂地域を走る北大阪急行が箕面市まで延伸された。関西人に人気の北摂エリアはますます便利になりそうだが、このままでは大阪の南北格差拡大は避けられそうにない。
北摂は人口増、泉州・南河内は人口減

大阪府の現状を表す言葉に、
「南北格差」
がある。発展する北摂や大阪市北部と沈滞する堺市以南の南部に見られる格差を意味している。北摂とは旧摂津国北部のことで、大阪府の区分では箕面市、吹田市、豊中市など10市町を指す。
これに対し、南部は泉州(旧和泉国)地方9市4町、松原市以南の南河内(旧河内国南部)地方6市3町村が入る。堺市や岸和田市、富田林市などで、戦前、戦後の基幹産業だった繊維の低迷などから、北部との格差が各種データに表れている。
2020年の国勢調査人口を5年前と比較すると、北摂は豊能、能勢の両町を除く8市町が増加を示した。大阪市企画振興部は
「子育て世帯が大阪市から北摂へ流出している」
という。ところが、南部は大阪狭山市、田尻町以外の14市6町村が減少した。
ひとり当たりの府民所得は2021年度、北摂が314~324万円なのに対し、南部は256~286万円にとどまる。泉佐野市と泉南市、田尻町にまたがる関西空港の対岸に
「副都心」
を設ける大阪府の構想がバブル崩壊で実現せず、それに代わる官民連携の大規模プロジェクトが生まれなかったことも、地域経済が浮揚しなかった一因に挙げられる。