プーチンが退任しても、「トヨタ」「日産」などが今後もロシアビジネスを期待できない理由
各社の決断の背後に潜む事情

マツダも2022年11月、ロシアからの撤退を表明し、ロシアで製造を手がける大手自動車メーカー・ソラーズとの合弁会社の株式を同社に1ユーロで譲渡することを明らかにし、マツダも2023年3月期に120億円あまりの特別損失を計上した。マツダは侵攻直後の3月にロシアへの部品の輸出を停止し、4月からロシアでの自動車生産を停止していた。
その後も自動車メーカーの脱ロシアは続き、2023年7月半ばには大手トラックメーカーのいすゞ自動車が同業他社から遅れる形でロシア事業から撤退することを明らかにした。同社もロシアでの事業再開が見込めないとして、ソラーズに事業を譲渡したのち撤退すると発表した。
こういった日本企業の脱ロシアは、他の業種でも見られる。ではこの2年間でどれくらいの日本企業が脱ロシアにかじを切ったのか。
2023年8月に帝国データバンクが発表した統計によると、侵攻直前にロシアに進出していた日本の上場企業168社のうち、2023年8月21日までに脱ロシア(ロシア事業からの撤退、停止、規模縮小などを発表)の動きを示した企業は80社に上り、完全な撤退や撤退計画を明らかにした企業が30社(約2割)と達したという。
この数字が多いか少ないかは人によって受け止め方が違うだろうが、企業にはそれぞれ個別の事情があることが想像できる。脱ロシアにかじを切った企業としては、侵略国でビジネスを継続すれば後になって自社のブランドやイメージが悪化する恐れがあり、それによって損害が利益を上回ることを回避したいという事情があったと推測できる。
また、サプライチェーンの不安定化や混乱に加え、ロシアに駐在員を配置する日本企業としては社員の安全への懸念が強まった。日露関係の急速な冷え込みによって現地在住の邦人の安全がすぐに脅かされるわけではないが、そういった環境下で生活を送ることは大きなストレスになるケースもある。
一方、脱ロシアにかじを切っていない日本企業は、売り上げ全体を占めるロシア事業の割合が極めて大きい、ロシアからの輸出入に依存しなければそもそもビジネスが成り立たないなど企業独自の事情があることが想像できよう。