飛行機の「ペット同伴」 SNSでの“絶対NG論”は意外と正しいのかもしれない

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羽田空港C滑走路で海上保安庁の航空機とJALの旅客機が衝突した。この事故で貨物室に預けていた乗客のペット2匹が死亡し、SNS上では「ペット同伴」の議論が白熱した。

交通機関サービスの限界

全国の20~69歳の犬の飼い主571人を対象に行ったアンケート(画像:ペットメディカルサポート)
全国の20~69歳の犬の飼い主571人を対象に行ったアンケート(画像:ペットメディカルサポート)

 実際、羽田空港の事故以降、ペット同伴についてSNSなどで議論されているのを見ると

「ジェット機の騒音や振動、気圧や温度変化は、ペットにとって不安とストレスでしか無い」
「やはり機内同伴は現在のシステムでは不安ですし、反対」

というように、同伴に反対するペット愛好家も少なくない。

 結局、ペットが客室で同伴できたとしても、乗客が安心することは難しいのである。実際、ほとんどの航空会社がペットの機内持ち込みを認めている韓国でさえ、問題が起きている。2023年10月には、ある客室乗務員が、乱気流で失神した愛犬をケージから出して応急処置をした乗客の行動についてインターネット上に投稿し、物議を醸した。

 このような傾向を鑑みると、現在伸びているペット・ツーリズムは、主に

「近距離旅行に落ち着く」

可能性が高い。

 ただ、これらのサービスは大きく普及するだろうか。結局のところ、多くのペット愛好家にとって、ペットと一緒に旅行したいというニーズに応えるサービス自体が首をかしげるものではないか。短距離の移動でもペットが不安を感じ、食事をしなくなった、排泄場所を間違えた――。そんな経験をした人は少なくないだろう。この記事を書くにあたり、筆者の知り合いであるペット愛好家数人に質問してみた。回答は、

・近距離であっても旅行は避けたい
・ペット同伴可でも宿泊は絶対にしない
・やむを得ない事情がない限り、交通機関や自家用車での旅行は避けたい
・ペットホテルに預けて人間だけ旅行もしたくない
・ペットを迎えた時点で泊まりがけの旅行はあり得ないと考えている

で、その多くが最初からどのサービスも利用しようとは考えていなかった。

 今や多くの人がペットを家族の一員と考えている。そのため、「家族だから一緒に旅行したい」ではなく、

「家族に迷惑をかけるようなことはしない」

と考える人の方が多いだろう。

 これは当然のことかもしれない。いくらサービスを充実させても、利用者に安心を与えるのには限界がある。したがって、ペット・ツーリズムにおいては、交通機関における同伴サービスや宿泊のニーズは一定以上には高まらないと考えられる。

 こう考えると、飛行機の「ペット同伴」 SNSでの“絶対NG論”は意外と正しいのかもしれない。

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