日本が誇る「宅配品質」を破壊? アマゾンは「誤配達→廃棄」という愚行をやめるべきだ

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このままでは、アマゾンが日本の物流、特に貨物自動車運送ビジネスを破壊してしまうかもしれない――。そうした危機感が現在漂っている。

使い捨てのコマ化する個人事業主

宅配の軽バンイメージ(画像:写真AC)
宅配の軽バンイメージ(画像:写真AC)

 アマゾンは日本の通販業界に参入し、瞬く間に業界を席巻した。筆者自身はアマゾンを頻繁に利用しており、これ自体は望ましい変化だったと思う。しかし、「日本が誇るべき高い宅配品質」を悪い意味で変質させるのであれば、それは勘弁してほしい。

 冒頭で、筆者自身が経験した誤配のエピソードとして、

「誤配をした当人には、自らやらかした誤配を正す機会も与えられなければ、誤配した事実を伝えることすら『契約外の連絡』に該当するためできない」

と書いたが、これは、軽バン配達員自身が成長する(できる)機会も奪ってしまう。

 一方、消費者としては、アマゾンの自前物流の軽バン配達員に「日本が誇るべき高い宅配品質」を求め、期待するのは当然である。アマゾンはこのことをどう考えているのだろうか。

 ふらちな行為に走る軽バン配達員を擁護するつもりはない。しかし一方で、軽バン配達員のモラルハザードは、過酷な労働環境に置かれ、健全な育成も行わず使い捨てにする元請け事業者による社会問題でもある。

「物流の2024年問題」などでコンプライアンスが厳しくなっている運送業界では、法の抜け穴としてフリーランス(個人事業主)の軽貨物自動車運送事業者が“使い捨てのコマ”として酷使されており、これがモラルハザードの原因のひとつになっている。これはアマゾンだけの問題ではない。この問題については別稿で取り上げる。

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