物流「2024年問題」はもう始まっている! いまさら「ホントに起こるの?」なんて言ってる人は、猛省&即対応すべきだ
運送会社と荷主の甘さ

「2024年問題はホントに起こるのか」と発言する人のなかには、
「コンプライアンス違反を犯している運送会社や荷主をすべて摘発するなど、どだい無理な話だろう」
と考えている人がいる。これはある意味で正しい。信号無視をするクルマや自転車、歩行者をすべて摘発することが不可能なように、年間時間外労働時間の上限を超えるような長時間労働をする運送会社をすべて摘発することは、国土交通省の一部門である運輸局のキャパシティーでは不可能だろう。
だが、状況が変わりつつあるのも事実だ。ひとつは「トラックGメン」の存在だ。国土交通省は貨物自動車運送事業法に基づき、2019年7月から2023年7月20日までの4年間に荷主・元請け事業者に行った「働きかけ」は85件、「要請」は4件にとどまっている。
しかし、“物流革新”政策の一環として発足したトラックGメンは、発足からわずか3か月あまりで166件の「働きかけ」と6件の「要請」を行った。当然ながら、今後も「働きかけ」「要請」、さらに上位の「勧告・公表」は増えていくことが予想される。運送会社にブラックな運行を要求する荷主は、トラックGメンによって次々と摘発されることを期待したい。
もうひとつは、ドライバーの流出だ。ドライバーに限らず、どの職種でも「給料が安くて長時間労働をさせられる会社」よりも「給料が高くて残業が少ない会社」のほうが人気がある。そして、2024年問題にしっかり取り組み始めた運送会社は、「給料が高くて残業が少ない会社」を実現しつつある。そのため、2024年問題への対策をしていない運送会社は、経営の原資であるドライバーが他社に転職する可能性に直面している。
荷主も同様である。2024年問題に取り組まない荷主、つまり長時間労働の原因となる待機時間を減らさず、手荷役を解消しない荷主は、ドライバーから敬遠され、取引を打ち切られる危険性がある。
このように、2024年問題に取り組まない運送会社や荷主は、世間の流れから取り残されていくことになる。このような荷主や運送会社は世間の情勢に疎く、変わらない(変えない)ことは現状維持ではなく、むしろ
「退化」
であることを理解していない。