なるか「軽EV元年」 三菱K-EVコンセプトXスタイルに見る、普及への展望と課題とは

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「東京オートサロン2022」で三菱自動車が初公開した『K-EVコンセプトXスタイル』。加藤隆雄社長は「EVが使いやすいと感じてもらえる第一歩になる」と意気込んだ。軽自動車から軽EVへの置き換えは進むのか。メリットとデメリットを検証した。

軽EVにふさわしい使い方とは?

 その中で救いだったのはK-EVコンセプトXスタイルには急速充電にも対応していたことだ。これにより、仮に遠くまで出掛けた際も効率よく追加充電ができる。現状では全国的にまだ充電スポットはバラツキがある状況だが、政府はこの整備を強化する方針で、その中にはより高速で充電できる200kW・6口/100kW・2口の充電設備も含まれる。これらの整備によって、計画的なドライブをすれば少ない容量のバッテリーをなんとかカバーしながら遠距離を走ることはできる。それでもガソリンを使った軽自動車のような気軽さで走るわけにはいかないだろう。

 ではここで軽EVにふさわしい使い方をまとめたい。軽EVにもっとも相応しいのは、普段の走行範囲を近所か、せいぜい隣町あたりまでとしている人だ。その場合はこれまでの軽自動車以上のEVらしい快適な走りが期待できるだろう。逆にドライブが好きで遠くまで走る機会が多い人には不向きだ。出掛けた先で充電しながらのんびりドライブするという考え方もあるが、これもうまく充電ができればこそ。出先では充電すら思うようにできないことがあることは知っておいて欲しい。

 たとえば遠くに親族が住んでいて、いざという時に駆けつける必要があるなら軽EVでなくてもEV1台だけにするのはお勧めできない。突発的な動きにバッテリーは対応してくれないからだ。ただ、もう1台、別に内燃機関を使うクルマを所有しているなら、普段の足として軽EVを購入しても大丈夫だ。かく言う私もその一人でHEVを別に所有した上で、現在の軽自動車を軽EVに買い替えるつもりでいる。これなら遠くまでドライブするときや、万が一、少し遠い故郷に住んでいる親の身に何かがあってもHEVで対応できる。

 果たして“軽EV普及元年”に相応しい期待通りの車両としてK-EVコンセプトXスタイルが登場するのか。この軽EVの登場が軽自動車からの置き換えにつながるか、その試金石となることだけは間違いなさそうだ。

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