ソニーのEVは「ウォークマンのモビリティ化」だ 新会社発表 その真の狙い

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CES2022でソニーが発表した、EVプロトタイプ「VISION-S 02」と事業会社の設立。市場へ本格参入する同社の狙いは、自動車メーカーになることではない。ウォークマン、プレイステーション、AIBO――それらプロダクトの延長にあるのがEVだ。

強みのエンタメコンテンツを装備

VISION-S 02(左)とVISION-S 01。プラットフォームは共通で搭載したセンサーも共に計40個としている(画像:ソニー)。
VISION-S 02(左)とVISION-S 01。プラットフォームは共通で搭載したセンサーも共に計40個としている(画像:ソニー)。

 今、世界は脱炭素社会の実現へ向けて自動車の電動化へ大きくシフトしている。世界中のスタートアップも相次いでEV事業に乗り出し、これまでさんざん対応の後れを指摘されていたトヨタ自動車でさえ、2021年暮れには2030年にEVを世界で350万台販売する戦略を発表したほど。もはや電動化への流れは今後さらに加速していくのは確実だ。

 そうした時代の変化をソニーは見逃さなかった。2020年にVISION-S 01を発表するや、世界中から“ソニー製EV”を切望する声が巻き起こり、前後してアップルが“アップルカー”を企画しているとの噂が飛び交った。こうした市場の変化がソニーをして、EVの事業化を考えさせるきっかけとなったのではないかと推測する。

 VISION-S 02の車内外にはソニー製CMOSセンサーなど合計40のセンサーを搭載し、周辺環境の認識・把握をリアルタイムに行って安全運転を支援する。すでにVISION-S 01を通して公道試験を繰り返しており、これと共通のプラットフォームを採用するVISION-S 02は、「広い室内空間を用いたエンターテインメント体験や7人乗車のバリエーションなどを通して、VISION-S 01とともに、価値観が多様化する社会での様々なライフスタイルへの対応を推進していく」(ソニー)という。

 特に自動車の電動化はカーライフを劇的に変化させる。EVはアップデートによって機能改善が行いやすく、たとえば加減速だけでなく乗り心地や走行安全性に関わる電子制御サスペンションの設定などはソフト上で制御は簡単にできる。一方で映画や音楽、ゲーム系の会社を傘下に持つソニーはエンターテイメント系コンテンツも豊富だ。

 VISION-S 02ではそれを踏まえ、5G接続に対応したクラウドサービスを利用可能とし、車両を継続的にアップデートできるほか、車内を個人の好みに応じたパーソナライズ化にも対応。また、立体的な音場を実現するシートスピーカーと「360 Reality Audio」対応ストリーミングサービスによる音楽体験や、自宅のプレイステーションへのリモート接続やクラウド経由ストリーミングによるゲーム体験も可能にした。さらに専用のコンテンツサービス「BRAVIA CORE for VISION-S」といったサービスも利用できる。

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