ソニーのEVは「ウォークマンのモビリティ化」だ 新会社発表 その真の狙い

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CES2022でソニーが発表した、EVプロトタイプ「VISION-S 02」と事業会社の設立。市場へ本格参入する同社の狙いは、自動車メーカーになることではない。ウォークマン、プレイステーション、AIBO――それらプロダクトの延長にあるのがEVだ。

自動車参入に避けて通れぬリスク

 プレスカンファレンスでソニーグループの吉田憲一郎社長は、「新会社ソニーモビリティはAI・ロボティックス技術を最大限に活用し、モビリティの可能性をさらに追求する。我々の知見を活かし、多用かつ革新的なソリューションを世界に提供していく」と強調した。

 つまり、こうした背景の下、ソニーはまさにEVの投入によって「ウォークマンのモビリティ化」を実現し、EV界に再び新たなソリューションを巻き起こそうとしているのではないだろうか。その真価は“車内での体験”にある。

 ただ、EVを販売するとなればそのハードルが相当に高いのも確かだ。電動化ということでEVは家電メーカーに親和性が高いと思われがちだが、自動車は家電とは桁違いの安全性が求められ、耐久性にしても家電をはるかに超える基準が課せられる。ソニーがイメージセンサーで半分を超える世界シェアを持ちながら、車載用となると数%にまで落ちてしまうのも、いかに車載用の搭載基準が厳しいかを示していると言えるだろう。

 さらに言えば、EVだけでなく自動車を販売するにはメンテナンスを含めた事業の継続性は欠かせない。それはある意味リスクとなって企業に重くのしかかる。もちろん、それぐらいのことはソニー自身も熟知した上での新会社設立なのだと思う。

 そうしたリスクを抱えながら、果たして“ソニー製EV”は現ずるのか。あるいはEV界に新たソリューションを巻き起こすべく、EVでソニーの存在感を高めて行くのか。新会社設立と共に、ソニーがEVにどう関わっていくのか、今後の動向からは目が離せそうにない。

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