今さら聞けない「自動運転」の超基本! まず知っておくべきことを書いてみた
自動運転車の仕組み

では、自動運転車はどのような仕組みで動いているのか。これは通常の人間の運転になぞらえると理解しやすい。
赤信号に従って車を停止させるとき、われわれが行っていることを細分化すると、
・赤信号を見て(認知)
・「停まろう」と思い(予測・判断)
・ブレーキを踏む(動作・制御)
という3段階になる。この認知、判断、制御のそれぞれを、自動運転車に搭載された各システムが担当するイメージである。
「認知」機能は、カメラやセンサー、人工衛星、サーバーとの通信を駆使して行われる。これらから得られた情報と、周辺の状況を詳細に3Dマッピング化した
「高精度3次元地図」
という基盤になるべきデータが照らし合わされて、より確実で安全な「認知」用の情報が取得・構築される。搭載された機材によって認知の能力は当然異なるが、ものによっては周辺360度を3次元的に把握したり、進行方向の数百m先までの状況を検知することが可能となるそうである。
また、車外の情報だけでなく、車内のドライバーをモニターする技術もある。ドライバーと自動運転システムの併存が想定されている自動運転レベル3においては、ドライバーはシステムの要求に応じてすぐに運転を交代できる状態にいることが求められる。
そこでドライバーモニタリングによって、ドライバーの居眠りやよそ見を検知して、異常があれば警告を発し、それでも応答がなければ安全に停車する、といった備えが設けられている。
次に「判断」を行うのは人工知能(AI)である。認知によって得られた情報から適切な判断を導き出していく。例えば「赤信号を見たら停まる」といった単純なものから、
「ひとりで歩く子どもは道路に飛び出してくる可能性があるので、その近くを走る際は減速する」
といった細かい判断もAIには可能である。ディープラーニングの登場でAIの学習効率が飛躍的に上がり、自動運転技術も大幅に進歩した格好である。
最後の「制御」は、ハンドルやアクセル・ブレーキペダルなどの操作である。AIの判断・指令が電気信号と伝達され、これを行っていく。将来的に完全無人化が想定されている自動運転車では、離れた場所からの制御、すなわち遠隔操作の技術開発も進められている。
どの技術も現代の最先端でありながら発展途上であり、自動運転技術の分野はまだたっぷりと伸びしろを残しているといえよう。