普通免許で運転可能 いすゞが「エルフ」新モデルを投入する複雑事情

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いすゞが2024年夏までに、普通免許で運転できる小型トラックをディーゼルエンジン仕様とともに発売すると報じた。その背景にあるものとは。

2024年問題という喫緊課題

いすゞ自動車のウェブサイト(画像:いすゞ自動車)
いすゞ自動車のウェブサイト(画像:いすゞ自動車)

 いすゞがエルフに普通免許で乗れるディーゼルエンジンモデルを投入する背景には、運転免許制度とも密接に関係する、実に複雑な事情があったことが理解していただけただろうか。

 こうした問題を踏まえて、新型トラックビジネスを見ていきたい。いわゆる2024年問題を考えると、ドライバーの待遇改善をはじめ、官民一体となって運送業界そのものを支えていくことが不可欠だ。そのためには、運転免許を取得したばかりの若者にも馴染みやすいトラックや、運送事業者が使いやすいディーゼルエンジンのラインナップを拡充することが効果的だ。

 具体的には、エルフやダイナよりも小回りが効き、燃費がよく、トルクフルなディーゼルエンジンだ。例えば、トヨタ・タウンエース、ダイハツ・グランマックス、マツダ・ボンゴのディーゼル版などがあれば、エルフとは異なるユーザー層を開拓することができるのではないか。

 こうした分野にはすでに軽トラックが広く使われているという意見もあるだろうが、ガソリン価格が高騰している現在、ディーゼルエンジンや軽油のランニングコストの安さは大きなメリットとなる。

 ディーゼルエンジンの再評価は環境対策に反するという意見もあるだろう。しかし、日本の喫緊の課題は、今後予想される物流の停滞をどうクリアするかである。

・ドライバーの人材確保
・ドライバーの雇用安定
・ドライバーの長期的視点に立った処遇改善
・ランニングコストの削減
・運送事業者の収益改善

これらに加えて、使用するトラックの効率化が求められる。ある意味、小型ディーゼルトラックへの回帰は、こうした様々な課題から導き出される答えのひとつといえそうだ。

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