ランドクルーザーはなぜ「盗難被害」に遭うのか? 2年連続ワースト1、年間450台という現実

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日本損害保険協会は、2000年から毎年「自動車盗難事故実態調査」を実施、その結果を毎年公表している。早速、近年の車両本体盗難被害の傾向を見てみよう。

盗難に遭いやすい理由

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 ランドクルーザーが車両本体盗難に遭いやすいのは、市場での人気が高いことが理由である。それに加えて近年はコロナ禍での

「新車供給不足」

が相まって、既に市場に出ている個体のなかで良質なものが集中して狙われたということだ。

 ランドクルーザーは近年のハイグレードなスポーツタイプ多目的車(SUV)人気を背景に、世界的なベストセラーモデルとなっていた。特に北米や中東といった、こうした大型のSUVが人気の地域ではたとえ盗難車であってもそのリセールバリュー(再販価値)は極めて高いといわれていた。

 市場での人気車が品薄となれば、そこにブラックマーケットが介在する。ただし、日本国内においては完成車がそのままブラックマーケットに流れて再流通させることは容易ではない。

 おそらくは、2020年から2022年までの3年間に盗難被害にあった1056台のランドクルーザーは、そのまま海外に流出したものと判断するのが妥当だ。そのなかの個体には部品にバラされて故買市場に回されたものも少なくないだろう。

 ちなみに1056台という数字に対して、意外に少ないなと感じる人が多いのではないだろうか。冒頭に記したとおり、この台数はあくまで車両保険加入車両に限ったものである。すなわち高年式かつ上級グレードモデルがほとんどだ。ランドクルーザーはその年式やコンディションに左右されることなく市場での人気が高い。車両保険を契約していない状態で盗難被害にあった個体はさらに数倍になるのではないかと推測される。

 なお、ほかに盗難被害に遭いやすい車両としては同じくトヨタのハイエースがよく知られている。ハイエースも今回の被害ランキングの常連ではあるが、その台数は

・2020年:82台
・2021年:78台
・2022年:83台

といずれも100台には達していない。これはハイエースでの車両保険契約数がランドクルーザーよりはるかに少ないことが理由だ。こちらも実際に盗難被害に遭っている全数は、今回のデータの数倍に達しているものと推測できる。

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